院試体験記

筆者です.執筆当時で東京大学理学部物理学科4年です.合否結果の出た後でバイアスのかかった記事を書いています.

下調べ・研究室見学

下調べは春休みに開始しました.物性分野に興味がありました.興味を研究テーマのレベルで絞ることはできていませんでした.取り敢えず本郷と物性研究所に存在する研究室を調べました.話を聞いてから理論系と実験系のどちらに行くかくらいは決まればいいや,くらいに考えていました.

2月末に物性研究所の見学に行き,複数の教員からお話を伺いました.柏は程よく過疎なところだったので,人間の集団が嫌いな人間におすすめです.研究室訪問でする質問は事前に調べて考えてから行きました.またブラック研究室の特徴や他の研究室の教員の人格についての質問も投げました.お茶を濁されたのですが,具体的なヒントをいただけたのでとても参考になりました.先生方は立場上,暗い話題を答えることができないので,院生を狙いましょう.席を外したタイミングがいいです.各研究室での強みのテーマと展望を伺ううちに自分の興味が少しずつ見えてきたので,このタイミングで行ってよかったと思いました.

出願

最終的な研究室の絞り込みは,院生の奨学金の採択状況・教員の人間性・研究テーマの方向性を元に判断しました.第一志望サブコースはA3,第二志望サブコースはA4で出しました.

筆記試験前

英語は100点,専門科目は400点ということで,英語力を伸ばすよりは専門科目での得点率を上げることに注力することにしました.

6月半ばくらいからちまちまと授業で扱っていた演習問題を解き始めました.解き終わる目処は立たなかったので,優先順位を立ててつまみ食いしました.物理学演習IVの問題しか解き終わりませんでした.授業期間中にまじめに解いてないからです.

8月になってからは過去問を解き始めました.物理学は11年分,数学は15年分解きました.私は本番でテンパるタイプなので,事前に制限時間の3割を削って過去問演習を行うようにしていました.令和2年度以前の問題(物理と数学)は1年分解くだけで5時間半かかるので,解き直しをしていて気がつくと翌日になる毎日でした.時間内に解けなかった問題は解けるまで粘ったり,学科同期と議論して何らかの形で決着がつくまで取り組みました.解けなかったテーマについては類題を物理学演習から探し,解けるまで粘りました.授業で扱ったはずですが,意味不明なことが多かったので,定義の確認を教科書で行ってから取り組むことがほとんどでした.学期中に演習問題をまじめに解いてないからです.

8月半ばからはほぼ毎日夢の中に問題が出てくるようになりました.問題を解く夢は寝覚めが悪く辛かったです.一方で筆記試験が近づくにつれ Twitter をしている人たちが少しずつ壊れていくので,とても楽しかったです.院試直前のTLは阿鼻叫喚,さながら珍獣の群れです.意外なことに解いた問題の正答率を呟く珍獣はほとんどいませんでした.同期が敵に回る可能性を本能的に理解していたのでしょうか.こうした惨状を一部の先輩が楽しそうに眺めているのに比べ,明日は我が身という雰囲気の後輩たちが対照的でした.

試験日の3日前からは出されたら終了するテーマを列挙し,それを潰す生活を送りました.潰しきれなかったので悲しかったです.試験日の前日は疲れを取るために早めに勉強を切り上げました.ながめにゲームをできたのでよかったです.

筆記試験当日

過去問演習をしているときはスティックシュガーをよく飲んでいたのですが,試験場では飲み物以外を口にすることが禁止されていたのでジュース類を買いました.粘性が高めの飲み物だったこと,またペットボトルが柔らかい素材だったことから,飛び出したジュースでベトベトになりました.試験が始まる前に飲み物を封じられた気分になったため,緊張感が不快感で上塗りされました.また周囲には同期が何人か確認されたので,院試と言うよりは模試を受けているような気分でした.

第2問で予定通りテンパりました.他の問題は過去問と大体同じ傾向でした.第1問の記述をどれくらいまじめに書くかは少し悩みました.何度も出ており,答えのよく知られている問題です.問題数的にあまり時間を割きたくなかったので一言か二言添えて済ませました.小問7は時間消費と点数のコスパが悪そうだったので飛ばしました.物性班にいたのに第2問を完答できないのは後ろめたい気持ちがありましたが,総合で事故ったら元も子もないのでさっさと飛ばしました.

筆記試験は第2問以外が順調だったことから,8割~9割くらいの感触でした. 追記:開示はもっと低かったので、後ろの小問に傾斜がかかっているか、記述の根拠が不足していたかもしれません。

口述試験

筆記試験の合格が発表されるのが 8/30 で,口述は 9/1 以降に始まります.筆記試験が終わってからは完全に気が抜け,バイトと特別実験のレポート執筆とカラオケと音ゲーと漫画と読書以外何も手がつきませんでした.2日前から出題されると噂されているトピックに山を張りました.また選んだ研究室と志望動機,行いたい研究テーマや漠然とした研究方針については想定問答を軽く準備しました.

口述試験当日

オンラインで行われました.具体的な質問内容は禁止されていそうなので書けません.いかにもな面接らしい質問には答えることができましたが,張っていた山はすべて外れたので,黒歴史になるレベルで口述ができませんでした.面識のある先生が面接の担当でした.特に,普段は楽しそうに講義を行う方が,面接の場では真顔で質問を行っていたのが印象的でした.頭では「面接だからそれはそう」と理解しつつも,ギャップによる威圧感で圧死していました.画面に映る自分の顔面は,水面で餌を頬張る鯉のようにパクパクした状態になっていました.

配属先発表まで

院試が終わったら夏休み,とはなりませんでした.今度は9月半ばにある特別実験の成果発表とレポートの締め切りが襲いかかってきました.提出が多少遅れても大丈夫とは言え,卒業に影響が出るので可能な限りまじめに取り組みました.

特別実験が完全に終わると,フラッシュバックが酷くなりました.また同じくらいの頻度で,合格発表までの期間が長すぎることへの怒りが湧くようになりました.面接が完全に終わるのが 9/6 で,合否の発表が 9/21 です.学生をおちょくっているのではないかという思いを抱かざるを得ません.結局 9/21 になって発表されたのは合否だけで,配属先は 9/26 になるまでわかりませんでした.数日しか違わないと言えばその通りですが,ポストと自室の間を成人男性が行ったり来たりする様は惨めなものでした.笑えばいいと思うよ.

合否

第一志望の研究室に配属されました.がんばるぞい!

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